メソセラピーとは、1952年にフランスのMichei Pistor(ミッシェル・ピストール博士)によって初めて施行された注射を使用した治療方法です。考案当時は主に痛みを治療するものとしてリウマチ学、スポーツ学、リハビリ医学などにおいて用いられていましたが、現在では局所の脂肪やセルライトの除去、加齢によるしわ、脱毛症など美容医学の治療法としても応用されています。
AGA治療におけるメソセラピーは、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルなどの投薬治療の補助的役割として使用されています。注入する成分に特に決まりはなく、クリニックごとに配合成分は異なりますが、多くの場合はミノキシジルなどのAGA治療薬成分や成長因子、栄養素などを頭皮に直接注入します。
メソセラピーは副作用の発生率も低く、安全な治療法とされていますが、日本皮膚科学会のよる「男性型および女性型脱毛症の診療ガイドライン2017年版」においては、推奨度C2と低く、“行わない方がよい”と評価されています。
これは、メソセラピーにおいて行われた臨床試験の多くは先進医療の段階にあり、安全性や有効性が十分に検証されていないこと、また現在では再生医療等の安全性の確保等に関する法律に則して施術する必要があるものも多く、現時点では広く一般的に実施できるとは言い難いことが関係しています。しかし今後が期待できる治療法と評価されており、この先さらに検証が進めば、より安全で有効な治療法として利用されることでしょう。
AGAメソセラピーにおいて使用される成分をいくつか例としてご紹介いたします。
成分名 | 効果 |
---|---|
ミノキシジル | 発毛を促す効果 |
フィナステリド | AGAの進行を抑制する効果 |
IGF(インスリン様成長因子) | 毛母細胞の増殖を促し、髪の毛の成長をサポートする効果 |
VEGF(血管内皮細胞増殖因子) | 血管を分岐させ、髪の毛に栄養が届きやすくし成長をサポートする効果 |
KGF(ケラチン細胞増殖因子) | 髪の毛の成長促進、頭皮環境を整える等の効果 |
タンパク質 | 髪の毛の土台、また健やかな成長をサポートする効果 |
ビタミン類 | 髪の毛を生成に欠かせない栄養素の吸収をサポートする、頭皮の血行を促進し頭皮環境を整える等の効果 |
ヒアルロン酸 | 保湿効果により頭皮環境を整える効果 |
メソセラピーの代表的な注入方法として以下の方法があります。
パピュール法とナパージュ法は注射器を用いて頭皮に有効成分を注入します。パピュール法では表皮と真皮の間に有効成分を注入し、ナパージュ法では表皮に浅く注射をします。どちらも注射による痛みを伴いますが、より深い部分に注射をするパピュール法の方が痛みが強いとされています。注射器で注入したい部分へ細かく狙って有効成分を注入できるため、メソセラピーの注入方法の中で最も効果が出やすい方法です。
ダーマローラー法は、極細針のついたローラーを頭皮で転がし有効成分を注入します。注射器を用いるパピュール法やナパージュ法と比べて痛みは少ないものの、多少の痛みは伴います。
ノーニードル法は特殊な電気刺激を使用して皮膚細胞膜に隙間をあけ、有効成分を注入します。針を用いないため、痛みが少ない方法です。
フラクショナルレーザー法は針を使用せず特殊なレーザーで頭皮に極細の穴をあけ、有効成分を注入します。こちらの方法も痛みは少ないのが特徴です。
メソセラピーとHARG療法では、注入する有効成分や費用に違いがあります。
HARGカクテルに含まれる「AAPEパウダー」は、健康な20歳前後のドナーから摂取した脂肪幹細胞をもとに抽出されたタンパク質を精製し凍結乾燥させたもので、多くの成長因子やサイトカインが含まれています。HARGカクテルを注入することで毛母細胞等、髪の毛の成長に関与する細胞が活性化し、発毛を促すことができるのです。
HARG療法は日本医療毛髪再生研究会から認定を受けたクリニックでのみ治療を受けることが可能で、現在の登録施設数は170件を越えています。
一回あたりの治療費はメソセラピーと比較して高額ではありますが、副作用やアレルギー報告もなく、安全な薄毛治療方法として注目されています。
メソセラピーは1回からでも治療は可能ですが、効果を実感するためには月1〜4回程度治療を行うことが推奨されています。クリニックや患者様の症状によりますが、月に数回の治療を約半年から一年ほどかけて治療を行うケースが一般的です。
メソセラピーを受ける際の注意点をいくつかご紹介します。
施術当日のシャワーや入浴、サウナは感染症の原因となる菌が侵入する恐れがあります。また、血流が良くなる影響で治療部分に痛みや腫れが生じる可能性もあるため避けるようにしましょう。
髪の毛は、成長期・退行期・休止期の3段階から構成される「ヘアサイクル」と呼ばれる一定の周期を繰り返すことで成長し、生え替わっています。ヘアサイクルは一生のうちで繰り返す回数に限りがあり、ヘアサイクルを終えた毛根からは髪の毛が二度と生えなくなってしまいます。そのため、ヘアサイクルを終えた毛根へ有効成分を注入しても発毛効果は期待できないでしょう。
メソセラピーに含まれる成長因子や栄養素は体に害のない成分であるため、基本的に副作用が発生する可能性はほとんどありません。しかし、成分の中にミノキシジルやフィナステリドなど投薬治療の成分が含まれている場合は、その治療薬の副作用が発生する可能性があります。
AGA治療におけるメソセラピー治療はその有効性が期待されています。しかし、メソセラピーだけでの治療では薄毛改善効果は十分でないため、投薬治療と併用して取り入れることが推奨されています。AGAヘアクリニック(以下、当院)では、ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドをはじめさまざまなAGA治療薬を取り扱っております。また、診察、カウンセリングは何度でも無料で薄毛に関するあらゆるお悩みのご相談を承っております。お気軽に当院までご相談ください。
医師監修のもと、AGA治療の基礎知識や
薄毛対策に関するトピックをお届けします。