薄毛の症状が最も多くあらわれるのは成人男性といわれています。年齢を問わず深刻な悩みになりかねない薄毛ですが、20代で起こる薄毛の原因はさまざま考えられます。
20代で起こる薄毛の原因の一つに「脱毛症」があります。脱毛症には円形脱毛症や脂漏性脱毛など、いくつもの種類が挙げられますが、ここでは20代の成人男性に最も多くみられるAGA(男性型脱毛症)と女性にみられるFAGA(女性の男性型脱毛症)について説明します。
AGAは成人男性に多いといわれている薄毛(脱毛症)の一種です。一般的には壮年期に多いとされていますが、20代の若い世代でも発症します。AGAは男性ホルモン、ストレス、食生活、睡眠などの影響によって起こるといわれていますが、主な原因は男性ホルモンであることがわかっています。
男性ホルモンの一種である「テストステロン」に5αリダクターゼという還元酵素が結びつくと、「DHT(ジヒドロテストステロン)」という悪玉男性ホルモンが生成されます。DHTが男性ホルモン受容体「アンドロゲンレセプター」と結合すると髪の毛の生成が妨げられるため、薄毛や抜け毛になると考えられています。
AGAには前頭部の額の生え際から薄毛が進行するパターンや、頭頂部のつむじ周辺から薄毛が進行していくパターン、前頭部と頭頂部の薄毛が同時に進行する混合タイプなど、さまざまなパターンがあることが特徴です。
女性の場合は男性のAGAとは異なり、額やつむじ周辺などに部分的な脱毛が起こるわけではなく、頭部全体が薄くなっていくという特徴があります。FAGAも一般的には40〜50代頃の壮年期に発症することが多いとされていますが、さまざまな要因により20代でも起こる場合があります。症状の現れ方には個人差があり、中でも分け目の部分がクリスマスツリーの枝のように広がる「frontal accentuation」という症状が有名です。
またFAGAは女性の薄毛の総称を指す言葉で、FPHL(Female Pattern Hair Loss:女性型脱毛症)やびまん性脱毛などとも呼ばれています。
FAGAの原因はAGAと同様にホルモンが関係しているといわれていますが、詳しい原因は未だはっきりとは特定されていません。女性の場合は加齢や出産によるホルモンバランスの乱れ、過度なダイエットによる栄養不足、ストレスや睡眠不足などの生活習慣、全身疾患に付随するもの、薬剤(経口避妊薬(ピル))によるものなど、多くの原因が疑われます。
慢性的な睡眠不足や質の悪い睡眠は薄毛を引き起こす要因の一つとされています。特に睡眠中に多く分泌される成長ホルモンは代謝の促進や細胞の修復など、身体を心地よく保つためにさまざまな働きをしています。慢性的な睡眠不足や質の悪い睡眠により成長ホルモンの分泌が正常に行われないと、髪の毛を生成する細胞の働きをも妨げてしまう場合があります。
また過度な飲酒や喫煙も薄毛の原因になりかねません。アルコールの過度な摂取により体内の「アセトアルデヒド」が増加すると、AGAの原因であるDHTが増加するといわれています。さらに、アルコールが分解される過程で髪の毛の生成に必要な栄養素であるビタミンやアミノ酸などの栄養素が消費されてしまうことや、体内に糖化(※)を招き、育毛を阻害する可能性などが考えられます。
喫煙も同様にタバコの煙に含まれる代表的な有害物質「ニコチン」が血管を収縮させて体の機能に悪影響を及ぼす恐れがあるため、正常な育毛に障害をもたらす可能性があります。
タンパク質や脂質の代謝に関わる生命の維持には欠かせないホルモンの一種に「コルチゾール」があります。ストレスを感じると副腎皮質から分泌されるコルチゾールの血中濃度が上昇するといわれていますが、過度なストレスによってコルチゾールが過剰に分泌されると、免疫機能が低下したり糖尿病や心筋梗塞などのリスクが高まる可能性があります。正常な育毛を促すには健康状態が良好な身体であることが必須なため、ストレスの蓄積は間接的に薄毛や抜け毛を助長する可能性が考えられるでしょう。
また、ストレスにより自律神経が乱れた場合も血行不良を引き起こす場合があります。
AGAの主な要因は男性ホルモンだといわれていますが、男性ホルモン以外にもAGAの原因の一つとして遺伝が指摘されています。遺伝的背景としてはX染色体に存在するアンドロゲンレセプター遺伝子の多型、常染色体の「17q21」や「20p11」に疾患関連遺伝子の存在がわかっています。
しかし、AGAを発症しやすい遺伝子を持っているからといって必ずしもAGAを発症するわけではありません。
20代の薄毛や抜け毛の原因はさまざまあるため、対策方法もさまざまです。薄毛や抜け毛は原因に合った対策を施すことが大切ですので、心当たりのある場合はできることから始めていきましょう。
薄毛を引き起こす要因の一つとされている慢性的な睡眠不足や質の悪い睡眠を避けるためにも、睡眠習慣を見直してみましょう。良質な睡眠をとるための対策としては以下のようなことがあります。
また先述の通り、過度な飲酒や喫煙が正常な育毛を妨げる可能性もあるため、薄毛や抜け毛の予防策として飲酒や喫煙の習慣を見直すことも大切といえます。
活発な育毛を促し、薄毛や抜け毛の予防をするための健康体を維持していくためには、栄養バランスの整った食生活を送ることが大切です。
日頃の食事からも、人体の生命維持に欠かせない栄養素のタンパク質、炭水化物、脂質だけでなく、健康的な髪の毛を作るために特に大切とされている亜鉛など数多くの栄養素を取り入れることを意識してみましょう。
また、抗酸化作用や鉄の吸収促進、抗ストレスなどの働きを持つといわれているビタミンC、エネルギーの供給や細胞内における物質の変換である物質代謝に関与するビタミンB群、高い抗酸化作用を持ちさまざまなダメージから細胞を守る働きをするビタミンEなどのビタミン類も健康体の維持や育毛をサポートするために重要な栄養素だといわれています。
フルーツは各種のビタミンをはじめ、ミネラルや食物繊維などが豊富に含まれているため、積極的に摂取したい食材といえます。
先述のとおり、慢性的なストレスは体内の免疫機能を低下させたり自律神経を乱し血行不良を招いたりする可能性があります。血行不良になると髪の毛の生成に必要な栄養の供給が滞り育毛を妨げる恐れがあるため、自分なりのストレス発散方法を見つけ、なるべくストレスが溜まらないよう工夫するとよいでしょう。
適度な運動は血流改善だけでなく、ストレス解消にも有用だといわれています。そのほかにも、音楽鑑賞や旅行など趣味に没頭できる時間を確保したり、アロマテラピーやマッサージなど、リラックス効果やリフレッシュ効果が期待できる方法を取り入れたりなどすると、ストレス解消に繋がり健やかな身体づくりに役立ちます。
20代の薄毛や抜け毛の予防策として、発毛剤で髪の毛の成長を促すケア方法や育毛剤で頭皮環境を整えるケア方法があります。発毛剤や育毛剤は薬局やドラッグストアでも購入できますが、特に育毛剤の種類はさまざまで、中には自分の頭皮の状態に合わない育毛剤もあるかもしれません。
発毛効果のある有効成分を含む発毛剤とは異なり、育毛剤はあくまでも頭皮ケアのサポート的な役割を担うものであり、積極的に使用を勧めるものではありません。頭皮環境をよくするために最も大切なことは、洗髪・髪の乾燥・保湿です。育毛剤のようにさまざまな成分が含有されているものは頭皮トラブルの原因にもなり得るので注意が必要です。
20代にも多く見られるAGAの場合、薄毛治療専門のクリニックで治療を受けることで薄毛や抜け毛が改善されます。
AGAの治療法としては投薬治療が一般的で、内服薬と外用薬に分けられます。主な治療薬には薄毛の進行を抑制する「デュタステリド」と「フィナステリド」、発毛を促す「ミノキシジル」の3種類が挙げられます。フィナステリドとデュタステリドは内服薬のみ、ミノキシジルは内服薬と外用薬とがあり、薄毛の進行具合などによって処方される治療薬は異なります。
AGAは進行性の脱毛症であるため、発症してから放っておくと薄毛や抜け毛の症状はどんどん進行してしまいます。また加齢とともに薄毛や抜け毛が進行し、髪の毛が生え変わるサイクル(ヘアサイクル)が寿命を迎えてしまうと、寿命を迎えた毛根からは髪の毛が生えない状態になってしまうことが考えられます。
しかし、20代であればヘアサイクルが寿命を迎えることもほとんどなく、薄毛治療によって薄毛の進行の抑制や発毛を促進することが出来るため、薄毛や抜け毛の改善を望む場合はなるべく早めに薄毛治療などの対策を打つことをお勧めします。
薄毛や抜け毛の発症には生活習慣や遺伝、ストレスなどさまざまな原因がありますが、20代からしっかりと薄毛対策をしておきたいと考えるなら、医療機関できちんと薄毛治療を受けた方がよいでしょう。
AGAヘアクリニック(以下、当院)はAGAをはじめとする薄毛治療の専門病院です。男性のAGAだけでなく、女性の薄毛にも対応しております。診察やカウンセリングは何度でも無料で受けられますので、治療を始める前に相談だけしたいとお考えの方でも安心してお越しいただけます。
早めの治療は薄毛改善への近道だといわれています。20代の方でも治療を受けることができますので、薄毛や抜け毛が気になる方はぜひ一度、当院へお越しください。
医師監修のもと、AGA治療の基礎知識や
薄毛対策に関するトピックをお届けします。