「ケトコナゾール」は抗真菌薬の一種で、皮膚炎の原因となる真菌に対して効果を発揮する外用薬です。頭皮の皮膚炎だけでなく、水虫やカンジダ症など様々な皮膚真菌症の治療にも用いられています。
「脂漏性皮膚炎」を発症すると頭、顔、ワキの下などにいる「マラセチア菌」などの常在菌が過剰に存在する皮脂を食べて増殖し、皮脂を脂肪酸に分解して炎症を起こします。皮膚が荒れ、頭皮にはフケ、顔や身体には鱗屑(りんせつ※)が生じ、かゆみを伴うことがあります。
脂漏性皮膚炎によって頭皮環境が悪化すると、正常な育毛が妨げられ、抜け毛や薄毛に繋がることがあります。ケトコナゾールはこのマラセチア菌に対して効果を発揮するため、脂漏性皮膚炎治療の第一選択薬として用いられることが多く、頭皮環境が改善されることで育毛環境も整っていくと考えられています。
ケトコナゾールには頭皮環境を整えるだけでなく、「AGA(男性型脱毛症)」の発症に関わる男性ホルモンを抑制する働きも示唆されています。
また、頭皮環境が万全でないと内服薬を服用しても、十分な効果が得られない場合があります。ケトコナゾールなどの治療薬で頭皮環境を整えることで、育毛効果がより高まることが期待できます。
抗生物質などをむやみに使い続け、菌が抗生物質に曝され続けていると、菌はその抗生物質に曝されても死なないように進化していきます。この進化した菌を「耐性菌」と言います。
漫然と抗生物質を投与することはよくありませんが、ケトコナゾールにはこのような耐性菌の報告がほとんどないため、脂漏性皮膚炎が疑われる場合には積極的に使用される治療薬です。しかし、治療薬である以上副作用が生じる可能性もあり、ケトコナゾールを継続利用するすべきかどうかは医師と相談しましょう。
また妊婦や授乳婦および妊娠している可能性のある女性は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用することとされているため、必ず医師に相談しましょう。
AGAヘアクリニックの治療用シャンプーに含まれるケトコナゾールには、頭皮の乾燥や過剰な皮脂から生じる真菌を抑制する働きがあり、フケやかゆみを防ぎます。また前述のとおり、ケトコナゾールには男性ホルモンを抑制する作用があるという研究結果もあり、研究によるとケトコナゾール含有シャンプーを使用した場合と、そうでない場合で毛髪の状態に有意な変化が見られたという報告もあります。
ケトコナゾールは医薬品に分類されるためドラックストアなどで市販されておらず、薄毛治療専門のクリニックや皮膚科で処方してもらう必要があります。
当院で扱っている「KETOCO」の使用方法は、以下の通りです。
女性のびまん性脱毛症「FAGA」や「FPHL」に対する有効性を示す根拠は現時点では充分ではありませんが、副作用が軽微な点も考慮したうえで女性の使用も認められています。ただし、妊婦や授乳婦などの場合は安全性が確立されていないため、必ず医師に相談しましょう。
小児等に対する安全性も確立していないため、お子様への使用を希望する場合は必ず医師に相談しましょう。
当院では、基本的にAGA治療薬と併用してケトコナゾール含有治療用シャンプーを使用することを推奨しております。ケトコナゾール含有治療用シャンプーの処方をご希望の場合は、一度診察を受けたうえで医師にご相談ください。
ケトコナゾール含有シャンプーは医薬品のため、入手するには医師の処方が必要です。市販では同じ抗真菌作用のある「ミコナゾール硝酸塩」が含まれたシャンプーが販売されていますが、ケトコナゾールの方がミコナゾール硝酸塩よりもフケやかゆみに強く作用するとされています。頭皮の状態によっては処方薬のケトコナゾール含有シャンプーをお勧めします。
医師監修のもと、AGA治療の基礎知識や
薄毛対策に関するトピックをお届けします。